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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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真相-2

「おっし。じゃあ、魔物解放っ!!」

 ゼインの身体の中で何かが外れた音がした。

バチィッ

 蒼白く光る稲妻がゼインの身体を包み込む。

バチバチバチ

「ぐうっ」

 内側から身体が盛り上がり、ゼインが歪み始めた。
 顔全体が前に伸びて口が裂ける。
 身体中が灰色の毛に包まれ、ぐんぐん大きくなっていった。

「ぐうぅウウゥゥ』

 声も低い唸りに変わり、頭から首にかけて長い鬣が生えていく。
 その姿は『狼男』の『狼』に近い感じ。
 しかし、獅子のような長い鬣があり全く違うようにも見える。
 尻尾はストレートのサラサラヘアみたいで、風に揺られて光っていた。

『グオアアァァッ!!』

 完全に変貌した獣は空に向かって雄叫びをあげる。

『ウウゥゥゥ……』

 パシッパシッと静電気を起こしながら獣はゆっくりと力を抜いた。

「「「ごくっ」」」

 それを見守っていた3人が同時に生唾を飲み、それを聞きつけた獣耳がピクリと動く。
 ゆっくり振り向いた獣の目は、ゼインと同じ蒼。
 その目を一度閉じた獣は、ゆっくりと開けると同時に口角をぐにっとあげた。

「……ゼイン?」

 ポロが恐る恐る声をかけると、獣は4本足でとことこ近づき彼女をベロンと舐めた。
 どうやら自我はあるらしい、とスランは息を吐いて抜いていたショートソードを鞘に収める。

「しかし、でかいなぁ」

 ケイはポロを舐めているゼインを見上げて呟く。
 3メートル以上はある体格に、口は人1人余裕で入れそうな大きさだ。

『グル』

 喉を鳴らしたゼインは一瞬、顔をしかめる。

「ははっ喋れないか」

 人間とは身体の構造が違うのだから当たり前だ。

『ウゥ』

 ゼインは悔しそうに唸ってポロから離れ、後ろ足だけで立ってみる。
 若干、爪先立ちのような感じだが普通の獣よりも足全体が大きいので問題ない。
 何度か屈伸するように動いたゼインは、クイッと視線を沼の対岸に向けた。

ドンッ

 途端に地面に響く鈍い音と、衝撃波が3人を襲う。

「わわっ」

「おおうっ」

 ケイはポロを抱いて庇い、スランは腕をあげて足を踏ん張る。
 気づいたらゼインの姿は無く、沼の向こう側でガサッと木の揺れる音がした。


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