真相-12
「あ〜…居場所が無い……」
その頃、ケイは小屋の外で黄昏ていた。
ゼインとカリーはラブラブだし、何故だかポロはスランにご奉仕してるし……1人あぶれてしまって虚しい。
『ククウ?(何でポロはスランにご奉仕してんだろ?)』
1人じゃなかった……精霊クインがふよふよ空中に浮かんで首を傾げていた。
「多分だけど、彼女なりのお礼じゃねぇかな?」
『ク?(お礼?)』
「うん。カリーが無事に戻ってきて、彼女無茶苦茶喜んでたじゃん?」
その喜びようは凄まじく、抱きついたカリーから中々離れなかった。
「今回はスラン無しじゃ成功しなかったからなぁ……ゼインだけじゃ頭に血が昇って自爆確実だしね」
それを宥めて、計画通りに事を運んだのはスランだ。
「ポロにはそれが分かったから、お礼がしたかったんじゃね?」
『ククッ(でも、あんな事しなくても……)』
「しょうがないよ。彼女はそれしか方法を知らねぇんだからさ」
ぶっちゃけ、瀕死の重症を軽傷まで回復させたのだからお礼は充分な筈だが、ポロには足りなかったらしい。
それぐらい、スランに感謝しているのだ。
『……クウゥ(……良いの?)』
クインの問いかけは『ポロの事が好きなんでしょ?』という事。
「どうかなぁ……分かんねぇや……記憶読んで同情してるだけかも知んねぇし」
彼女を守りたい気持ちはある。
ゼインと寝たのを知った時も、かなり腹がたったし嫉妬もした。
ただ、これが本当に恋愛感情なのかと聞かれるとイマイチ分からない。
「それよりも、今は姫様の事で頭いっぱい……」
『クク(あ、あはは……)』
ゼイン達に教えるべきか、帰ってからエンに伝えるべきか……はたまた姫に直接……。
どうするにしても姫様のダンナがぶちキレて、血を見る事になりそうだなあ……と、ケイは深々とため息をついた。
「あ……そういや今日、王子達のお披露目の日だ」
ファン国民にとって大事な祭りに参加しそこねた事に気づいて、がっくり項垂れる。
「ま……いっかぁ」
カリーは救出できた……更に、ゼインと長年の恋を実らせた。
ゼインも魔物である自分を受け入れてもらったし、スランも助かった。
良く考えてみたら良い事ずくめじゃないか、とケイは夜空を見上げる。
雲ひとつ無い、満天の星空……最高の夜だ。