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ロイター板と跳び箱
【青春 恋愛小説】

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ロイター板と跳び箱-1

 3月1日放課後
午後からの降水確立50%
1/2の晴れに賭けた俺、結果はこのザマ………。
傘ねーよ…。




 俺、深川和也17才。
いつもニコニコしてるナイスガイ!
でも今は、柄にもなく落ち込んでいた……。
理由は土砂降りの天気のせいだけではない。



「はい。コレ…使いなよ」

下駄箱の前で途方にくれている俺に、突然後ろから声が掛かった。
え?っと思って後ろを振り向くと、加奈が折畳みの傘を差し出していた。

「さっきはありがとね、和也。お礼にコレ使っていいから」
「いや、でも……」
「あ、私のはちゃんとあるから。それ、予備のだし」それでも悩んでいる俺に、加奈は強引に傘を握らせ、バッと水玉模様の傘を開くと、そのまま走り出した。

いつもの俺なら、
「相合傘で帰りますか!?」
などとニコニコしながら冗談でも言えるんだけど、今はそんな事も言えなかった………。
その原因はさっきの………そう、このお礼とも関係があるさっきの出来事……。





 「うわぁ〜。なんか雨降りそうじゃん…。」

今は、まだ雲がどんよりとし始めた昼休み。
俺は窓越しから空を見て、独り言を呟いた。
「やべ〜なぁ〜傘持ってきてねーよ……。…あ、そうだ!」
俺はある事を思い付き、隣のクラスへと駆けた。



「タケ〜!傘貸してくれぃ!」
親友である武浩に、傘を貸してもらう事にした。が
「いや、ムリ!!」
ときっぱりと断られてしまった…。

「なんでだよ?真理ちゃんと相合傘して帰るんなら、一つは必要ないだろ?」
真理ちゃんとは、武浩の彼女であり、俺とも中学からの仲良き友達。昔から両想いだった二人を、先月のバレンタインで俺がくっつけてやった。

「その真理が傘を忘れたんだよ。だから、一つっきゃないワケ。すまないが、他をあたってくれ」
真理ちゃんならありえる……。納得した俺は、他の人に頼む事にした。



しかし、誰もかも薄情もんだ!一人として貸してくれる奴がいない……。
まぁ普通は自分の分しか持ってないのが、当たり前の話しなんだけどさ。
かと言って、女子に相合傘をムリヤリ頼んでも、帰る方向が違ったら意味ないし……。
もちろん野郎なんて論外。


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