ロイター板と跳び箱-5
あの後、さすがに次の授業まではサボれないって事で、二人で教室に戻った。
まぁ、授業をサボった言い訳をするのに、骨が折れたのは言うまでもない。
そして今、はっきりと分かったこのキモチ。
でも、それを圧し殺してまで、加奈を応援する事にした自分に、少々落ち込んでいた。
だから、雨に濡れて帰るのもいいかなって考えてた。
けど、それでカゼでもひいたら、きっと加奈は私のせいで…と自分を責めてしまうハズ……。
結局、どうしようもなくて、ただ、立っているだけの俺。
そこへ渡されたこの折畳みの傘。
なんだか情けない自分に、苦笑いしながらも、傘を開こうとする。
すると、走り出したはずの少女が、こっちを向いて
「私さ〜アイツとは別れる事にしたから〜!!」
「……え??」
「だってさ〜!ここに!こんないい跳び箱見付けたんだも〜ん!!」
雨の音にも負けない大声で叫ばれた、意外な言葉。
「それって………」
3月1日
雨はまだ冷たい。
でも、この雨の向うには、
もう春が来ているかも。