最終話 新妻の目覚め-4
「分かったよ、奥さん。もう、ここには来ねえよ。奥さんを困らせるようなこともしねえよ」
「本当ですか?」
一番の難敵だと思っていた馬淵の以外な態度に、半信半疑の紗希。
「……これまで撮ったビデオも消してくれますか……?」
「ああ、分かったよ。おいっ、蛇沼」
「はいはい。ああぁっ、勿体ないですねぇ」
言いながらも、蛇沼は持ってきていたビデオカメラを操作して、紗希の目の前でデータを消してみせた。
「ほらっ、お前も何か持ってるんだろ」
馬淵が、ずっと無言のトモユキに向かって言う。
「チェッ、分かったよ……」
脅しのネタに使っていた紗希と蛇沼達との情事の写真を取り出すトモユキ。
トモユキにしても、元々は、裕一に対する一方的なコンプレックスが根底にあったのだ。
だが、紗希のアナルを犯し、欲しいままにできたことで、溜飲がを下げていた。
何よりも、まともに就職さえできないトモユキにとって、警察沙汰など、もってのほかだった。
「オメエは、こんなもん持ってやがったのか」
トモユキから写真を取り上げた馬淵は、それを紗希の方へと放り投げた。
「さて、奥さんよ。それで、納得してくれるか?」
「はい……もう、私と一切、関わらないと約束して下さい」
「ああ、分かったよ。だがな、奥さんよ……」
予想以上に事が順調に進んだことに安堵していた紗希に緊張が走る。
「俺達を一方的に呼び出して、あれをしろだの、これはするなだのって言うのは、ちょっと勝手過ぎじゃねえか」
自分達がしてきたことを棚に上げて、馬淵が、いつもの剣呑な口調になる。
「どういう、ことですか?」
「なあに、簡単なことだよ。俺達が奥さんとの約束を守る条件として、今日、これから奥さんが俺達三人の相手をするってことだよ」
「そ、そんな、約束が違います」