最終話 新妻の目覚め-2
紗希にとって、唯一の救いは、裕一が何も気づいていないことだった。
セックスをしていないため、紗希の肉体の変化を感づかれることはなかった。
結婚して3ヶ月ほどしか経っていないのに、まさか、妻が昼間に他の男を家に入れて、淫らなことをしているなど思ってもいないだろう。しかも、アナルまで開発されているとは。
紗希も裕一に悟られないよう努めるのだった。
裕一の前では笑顔を絶やさなかったし、家事もいつも以上に完璧にこなした。
間男達もその点は狡猾で、夫婦生活を破壊することのないように振舞っていた。
しかし、紗希は思った。
もう、これ以上、裕一に対して嘘をつくわけにはいかない。
夫を裏切り続けるわけにはいかない。
紗希は覚悟を決めた。
「もう、これっきりにして下さい」
目の前に並んで座る三人の男達に向かう紗希の顔は、いつもと違い決意に満ちていた。
もう、一歩も退かないといった顔だった。
紗希は、蛇沼と馬淵、そしてトモユキを自ら呼び出した。
三人の男たちが一同に会するのは初めてのことだった。
蛇沼達もトモユキの存在に薄々気づいていたようで、顔を会わせても何ら諍いは起こらなかった。
結局は、同じ穴のムジナだった。
「もう、これ以上貴方たちと、こういうことをするつもりは、ありませんから」
薄笑いを浮かべている男達に向かって、紗希は繰り返した。
「おやおやぁ、どうしちゃったんですかぁ、奥さん。急にそんなこと言っちゃってぇ」
蛇沼の粘着質な声。
「どうしたも、こうしたも、もう、こんなことできないんです」
「こんなことって、どんなことですかねぇ。エヘヘッ」
「どんなことって……」