最終話 新妻の目覚め-18
「あぁぁぁっ……!」
息を大きく吐きながら、飛び起きる。
「はぁぁっ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
パジャマ姿で半身を起こした紗希。息が乱れていた。
「おい、紗希。大丈夫か?」
「えっ?あぁぁ……裕一さん……」
裕一が心配そうな顔を向けていた。
「どうしたんだ?随分と唸されてたぞ」
「はあぁ〜……ゴメンなさい。何か、凄く悪い夢を見たみたい……」
顔を覆った両手で髪を掻き揚げながら、紗希は答えた。
ドキドキと鳴っていた心臓が、少しずつ正常に戻ってくるのが感じられる。
「フフフ……何か、俺の名前を何度も呼んでたぞ」
息も心も落ち着いてきた様子の妻を見て、裕一が、からかうように言う。
「もぉーう……だって、凄く怖い夢だったんだもの……」
照れを誤魔化すように、裕一の肩に頭を乗せる紗希。
裕一は、そんな紗希の身体を優しく抱き締めてくれる。
「凄い汗じゃないか。早く着替えてこいよ。風邪ひくぞ」
「うん。そうする。ちょっと待っててね……」
「で、一体、どんな夢を見たんだい?」
着替え終わって、ベットに戻った紗希に、裕一が聞いてくる。
「うーん……それが、よく覚えてないの。でも、何故か階段から落ちて、そこで目が覚めたの」
「何だ、残念だな。思い出しら、教えてくれよ」
「うん。思い出したらね」
「じゃあ、そろそろ消すよ」
「ゴメンなさい、こんな時間に起こしちゃって」