最終話 新妻の目覚め-17
「きゃあぁぁぁっ……」
紗希は、階段を転がり落ちていく。
わずか十数段のはずの階段が、なぜか何十段も続いていた。
そこを紗希の体が転がり落ちていく。
まるで、幸せに満ちた人生から転落するように。
何十段もある階段を、どこまでも、どこまでも落ちていく。
夫を裏切り続けた新妻に天罰が下されたのか。
新妻の転落は止まらない。
転がり落ちる視界の隅に、裕一の背中が一瞬だけ見えた。
だが、紗希にはどうすることもできなかった。
「裕一さん、助けてぇ……待ってぇ……」
裕一は振り向かない。
「裕一さん!お願い、待って……」
裕一がドアの向こうに消えようとしていた。
「裕一さん!待って!!」
「裕一さん!助けて!!」
裕一さん!
裕一さん……!
裕一さん……
……
……
……
「紗希……」
「紗希」
「おいっ!紗希!!」