解放-15
「カッケーだろ?」
「え?うん……カッコイイ……って、違うぅ!!何で?!何で居るの?!」
つられて場違いな会話をしてしまったがワケが分からない。
何故ゼインがここに居るのか?
そもそも何故この場所が分かったのか?
というか、暗殺者とバレたのか?
の前に、今の姿で何でカリーだと分かるのか?
カリーのパニクった顔に、ゼインはさも可笑しそうに笑ってカリーの頬を両手で挟んだ。
「ま、後で教えてやるよ……今は……」
ゼインは言葉を止めてカリーに顔を近づける。
「!!」
柔らかく冷たい感触を唇に受けて、カリーは現実に戻った。
見開いたカリーの目には、凄く嬉しそうに自分の唇を奪うゼインが映っている。
「ん…んぅっ?!」
驚いたカリーは口から声を漏らした。
一度、唇を離したゼインは角度を変えて再び唇を重ねる。
「ん……ぁ……」
只でさえ頭がクラクラしているのにこれは反則だ……幸せすぎて涙が出る。
「……ってワケでな……拐って行くぞ」
「……ワケ分かんないわよぅ……」
全然説明になってない、とカリーは頬を膨らませるが……今ここにゼインが居るのが嬉しくてつい笑ってしまう。
ガキッ
ゼインはカリーの拘束を素手で引き千切って彼女を解放し、優しく抱き締めた。
「……やっと捕まえた……もう絶対、離さねぇ」
言葉の意味は全く分からないが、ゼインが自分を求めてくれたのだけは分かる。
カリーは感覚の無い腕をなんとか上げてゼインを抱き返した。
ズクン
「んうっ?!」
その時、カリーが身体を強張らせてゼインにぎゅうっとしがみついた。
「?どした?」
「うぅ……薬打たれたぁ〜…身体が勝手にイッちゃうヤツ……んんっ」
「ああ……あれか……」
大分昔にゼインも体感した事があるが、男には余り効かなかったヤツだ。
その代わり、女にはすこぶる効果がある。
良い薬揃えてんなぁ、とゼインは妙なところで感心する。