海老川優里の最後の笑顔-10
するともえが言う。
「久々に見たいなぁ、優里のあれ!」
「あれって??」
「得意だったじゃない、足で踏みつけるの。」
昔、優里は湯島を踏みつけるのが大好きだった。
「あ、あんな酷い事、もうできないよ…」
「できるよ。昔よりスッキリするかも知れないよ?ほら、まずチンコ踏んであげなよ?こんなにビンビンなら逆に気持ちいいかもよ?ほら!」
「う、うん。」
促されるままに優里は湯島のペニスを踏む。
「ああ…!」
何とも言えないような声に鳥肌が立つ。
(変わらない…、湯島君、昔と全然変わらない…)
そう思うと次第に踏みつける足に力が入る。
「ああっ…っく!!」
いい大人がペニスを踏まれて感じる姿が気持ち悪い。
「うわっ!!」
その瞬間、湯島は射精した。腹にドクドクとたれ流れる精子。
「…」
女に痛めつけられながら射精する、あまりに情けない湯島に段々イライラしてくる。
「湯島君、大人になっても女に虐められてイッちゃうなんて、情けなくないの…?」
「ハァハァ…だって…」
「あ〜ん、イライラするっ!もうっっ!」
とうとう本性を現した。
「だいたいそんなだからいつまでたっても女に頭が上がらない情けない男なのよ!こっちは教師だからイジメは止めろとしか言えないけど、イジメられる方が悪いのよ!ちょっとはやり返したらどうなの!?ねぇ!!」
教師としてのストレスが一気に爆発する。
「ねぇ!湯島!?」
体を蹴り始める。
「い、痛いよぅ!」
「痛いじゃないでしょ〜!?ほら、やり返しなさいよ!」
「や、止めてよ!許してよ!」
「何を許すのよ!湯島は悪い事してないんだから私が許す事なんて何もないわ!?だったら男なら立ち上がってやり返しなさいよ!ねぇ!?」
蹴りまくる優里。しかしこの豹変ぶりは予想外だった。もえと真希は優里を止めに入る。
「優里、やりすぎだよ!」
「何よ!?昔はこんなもんじゃなかったでしょ!?ほら、2人もやりなさいよ!!」
「ち、ちょっと…」
もえと真希は何とか優里を引き離した。
(か、変わらない…。優里も昔のままだわ…。)
高校に入ってからなりを潜めていた優里の凶暴性だが、女らしくなった裏では確実に存在している事に気付かされた。
裏でモニターを見ている武史。
「海老川…優里…!」
震えが止まらない。それは恐怖と怒りが入り混じった震えだ。モニターに映っている優里の顔…、ずっとあの顔が憎くて、そして怖かった。武史は頭がおかしくなりそうな位に感情を高ぶらせていた。