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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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思い出-1

私は昔から運が悪い方だ。


授業中、わからない問題に限って先生に指されたり、やりたくもない面倒な係や役員をくじ引きで決める時には必ず自分に当たったり。


そんな私の運の悪さを久しぶりに実感したのは、春休みの補習一日目のことだった。


「おはよう、桃子ちゃん!」


相変わらず爽やかな笑顔を向けてくる歩仁内くんに、苦笑いを浮かべながら、


「おはよ……」


と、私は小さな声で挨拶した。


「もう、朝からテンション低いなあ。ま、数学だししょうがないか」


彼はそう言って私の前の席に座り、補習の時に持って来るように言われたテキストを開いた。



 ◇ ◇ ◇



私の高校は、市内では一応進学校として知られている。


だから、春夏冬休みなどの長期休みにも二週間程度、午前中だけ補習を行っており、私達生徒のほとんどはほぼ強制参加しなければならなかった。


また、進学校であると同時に部活動にも力を入れていて、部活に入っている生徒は都合のいい時間だけ参加するという形を取っていたけど、実際は補習はほぼ免除扱いであった。


だから、各クラスで補習に参加する生徒の数には当然バラつきが出てくる。


さらには、部活の顧問の先生のスケジュール調整や、補習を担当する先生の確保など、様々な都合により補習の時には、毎回特別クラスが編成される。


五クラスある私達の学年は三つの特別クラスに振り分けられて、二週間みっちり補習を行うことになっていた。


そして特別クラスの割り当てが補習一日目の今日、掲示板にデカデカと張り出されたのである。


沙織とはクラスが離れてしまったので若干不安ではあったけど、勉強に集中するいい機会だと気持ちを切り替えようとした矢先に、彼が現れたのだ。


歩仁内くんは少し馴れ馴れしい所があったけど、それがかえって気が楽で話しやすく、特別クラスで一緒とわかったときは少し安心した。






……アイツの姿を見るまでは。


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