自己嫌悪-14
ゴッ
ガシャーン
「お前が好きだからに決まってんだろうがっぁ!!」
派手な音をたててテーブル事倒れたゼインは、仰向けのままスランの言葉に目をパチパチさせる。
「アイツが何時からお前を見てると思ってる?!10年だ!!10年前からお前を見てんだよアイツは!!」
スランは立ち上がってゼインの顔面を踏みつけた。
「アイツは『赤眼のカリオペ』って呼ばれてる!会った事あるだろっ!!」
スランの足の下でゼインの目が見開かれる。
赤眼……赤い眼……あの暗殺者。
「あの頃からアイツはお前しか見てねぇ!暗殺者だからって一度は諦めたんだ!それでも!『脱色』してでも!見つかったら死ぬって分かってても!アイツはお前を選んだんだ!」
黙って話を聞いていたポロとケイは2人して目を輝かす。
ゼインが言っていた4人の特別な女の内、2人がカリーだったのだ。
「好き過ぎて喰っちまうかもだと?!上等じゃねぇか!!元々死ぬ覚悟でお前と一緒に居るんだ!!お前になら喜んで喰われてやらぁ!!」
何だかスランの告白みたいになってきたが、紛れもなくカリーの気持ちだ。
ぜいぜいと息を切らすスランの足の下で、ゼインがググっと身体を起こす。
「ぅお?!」
スランは驚きつつ更に体重をかけた。
それでもゼインは身体を起こす。
「……カリーは……何処に居る?!」
唸るように言ったゼインの蒼い瞳には、激しい炎が宿っていた。
やっと腹を括ったか、とスランはニヤリと笑って答える。
「南の大陸、ビアズリー国だ」