ファストフード・1-1
――ファストフード・1
「先輩、お疲れさまっス!!」
「……」
「まぁだ、落ち込んでんスか? アレって結局、勘違いだったんでしょ?」
「……」
「オレがヤッちゃったのは、別人なんスから……」
「ンなこたぁ、どうでもいいんだよ!!」
「じゃぁ、何なんスか?」
「……」
「彼女さん、まだ誤解してんスか?」
「だから、関係ねぇんだって!!」
「ってことは、単にフラレタだけってことスか?」
「……」
(え……図星?)
「元気出してくださいよ」
「……」
「彼女なんか、またすぐに出来ますって」
「……」
(この人、ワリと引き摺るタイプなんだよなぁ……あ、そうだ!!)
「先輩、気分転換に今夜、パーッと行ってみないスか?」
「……」
「この間、知り合いから風俗のサービス券もらったんスよ」
「……?」
「何か、ちょっと変わった店らしいんスけど」
「……どういう?」
(お、ノッてきた)
「先月つぶれた『バイブ翁』の後に入ったトコらしいんスけど……」
「場所じゃなくて、何の店かって訊いてんだよ!!」
「……あ、そうっスね、さぁせん……」
(掛かったッ!!)
「オレも知り合いに聞いただけなんスけど……」
「いいから!!」
「何かハンバーガー屋みたいな名前なんスよね」
「……?」
「『マッド・アラカルト』ってトコなんスけど……」
「なんだそりゃ?」
「何かいろいろシアワセになったりアリガトウって言われたり……」
「ますます謎だな」
「行ってみないとわからないってことスかね」
「安いのか?」
「オープン記念で半額にしてくれるらしいっス」
「ちょっと行ってみるか……」
「ソレがいいスね、っスね!!」
(先輩、意外とハマっちゃったりして♡)
♪ ダダッダッダッダー I'm loving it !!
――ファストフード・1