契り-1
――会社――
雪乃:明日は休みなので今日そちらへ伺ってもいいですか?
課長:は?どこへ?
雪乃:課長のお宅へ
課長:何で急に?
雪乃:…
課長:…
雪乃:…(ジィッ…
課長:…分かった分かった。別に来ても困るようなこと無いしいいよ
雪乃:では夕飯は私が作りますので食べないで下さい
課長:へぇ、作ってくれるんだ?
雪乃:お口に合うかは分かりませんが
課長:何なら雪乃くんも食べちゃおうかなwwwうははは!――ごめんなさいもう言いません!(サッ
雪乃:……
課長:…(あれ?)
雪乃:今日は何とか定時に終わらせて下さい。私も……覚悟は出来ましたから…(カツカツカツ
課長:え、はぁ…?(覚悟?)
――20:30 課長宅――
―ピンポーン
課長:はい
雪乃:月白です
課長:ああ、雪乃くん。遅かったね。今開けるよ
雪乃:…(ドキドキ
―カチャ
課長:お疲れ様、どうぞ
雪乃:し、失礼します(グッ
課長:ちょ!?何その荷物の量!リュックまで!え?登山にでも行くの!?
雪乃:今日は泊まるつもりですので…
課長:何泊する気!?一泊だよね?何日分!?え?疎開?避難民?
雪乃:1日分です。念の為の下着の代えと一週間分の衣類、非常時のライターやランプ、カセットコンロと蝋燭と小さなナイフ、水と缶詰めもあります
課長:本当に避難民じゃん!君んとこの地域だけ戦争でもあったの?
雪乃:念の為です(ドサ
課長:悟空が重いシャツ脱いだ時の音みたいなのが聞こえた。何コレ修行?
雪乃:さて、ではキッチンをお借りします
課長:いいけどさ…
――――
雪乃:(トントントン
課長:何か手伝おうか?
雪乃:結構です(ジャージャー
課長:そう…
雪乃:(グツグツ…コネコネ…パカッ…トントントン
課長:…(思ったより手際いいな…プロか?)
雪乃:うん。後は30分で出来上がりです
課長:早っ!しかもコンマ何秒か言ってない!
雪乃:はい。きっかり30分ですから。ああ、これで29分52,02秒です
課長:俺が悪かった
――――
雪乃:召し上がれ(コト
課長:おお!?旨そう!
雪乃:温かい内にどうぞ
課長:戴きます!(パクパク
雪乃:…如何ですか?
課長:泣けるほど旨い…女の手料理なんて何十年ぶりだ…(ポロポロ
雪乃:…心中、お察しします…
続