最終話-3
掠れた声をあげるマヤに、嘲笑が浴びせられる。
「うふふ、何人も男を咥え込まないと満足できない体なんでしょう? だから、今日はみんなで満足させてあげようと思って」
「そうよ、感謝してほしいくらいだわ」
「勝手なことばかりして……どんなことをしてあのひとを寝取ったの?」
女たちが一斉にマヤの傍に寄ってくる。
戦慄が駆け抜ける。
高峰の妻が、ゆっくりと手を伸ばす。
艶々と輝く、赤い爪。
それがマヤの胸にかけられた縄を静かになぞる。
「うちのひと、いい男でしょう? でも、ひとのものに手を出しちゃいけないのよ、先生」
恐怖のせいなのか、夕方に口に含んだ媚薬のせいなのか、薄桃色の乳首は固く尖ったままだった。
羞恥に顔を背けた瞬間、ぎりぎりとそこを捻りあげられる。
「あああっ!」
加減のない強さに、マヤの体がのけ反る。
縄がまた一段食い込む。
尻から陰部まで縦に掛けられた縄は、クリトリスの周辺を圧迫していく。
きゅう、と締まる感覚に、マヤの意識とは無関係に体が反応する。
じゅん、と足の間が熱くなる。
「ちょっと待って、ねえ、まさかこんな状況でも濡らしてるの? さすが淫乱よね」
赤い爪先がピンピンと乳首を弾き続ける。
「嫌だ、汚らしい……こんな女のどこがいいのよ」
別のところから伸びた手が、ぎゅうぎゅうと乳房を絞りあげる。
ナイフで傷つけられた足を叩かれ、悲鳴をあげると、さらにきつくもう一度叩かれた。
髪の毛をつかんで揺さぶる手。
頬を何度も打つ手。
陰部を尖った靴の先で蹴りつけてくる足。
「痛っ……もう……やめ……て……」
痛みと、その下にある、感じるはずのない快感。
動けば動くほど縄が締まる。
何をされても、ただ唇を噛んでじっと我慢するしかない。
部屋の端で、にやにやしながら田宮がマヤを見つめている。
これ以上ないほど、蔑みを含んだ視線で。
「こんなものが、主人の部屋にあったんだけど」