主人から電話がかかってきました-1
夫:さっ…刺された
私:え
夫:気付いた時には後ろからやられてた
私:大丈夫なの?
夫:ああ…心配ない…
私:心配ないって…血は?
夫:思ったより出てない…てか背中だからよくわかんないや
私:まぁダーツの矢じゃその程度か
夫:え?
私:え?
夫:やっぱお前なの?刺したの
私:…お前?
夫:…ごめんなさい…
私:違うわよ、刺したのは私じゃないわ
夫:ダーツって、凶器言ったよね?この前も僕の足コンパスで刺したじゃん
私:晩御飯の準備出来てるから早く帰ってきなさい。貴方の好きなカレーよ
夫:スルーやめてよ。怖い。
私:ヒ素入り
夫:食べれるカレーをお願い!どれだけ僕を嫌いなの!?何かしたっけ!?
私:私のプリンを食べたでしょ?
夫:それだけで僕は刺されるんだ!?ヒ素入りカレー食わされるんだ!?
私:刺したのは私じゃないってば
夫:いや!嘘つけよ!さっき自分で凶器言ったじゃん!
私:隣の奥さんに協力してもらったのよ
夫:共犯いた!!どっちにしてもお前が黒幕だろ!!
私:お前?
夫:あ、ごめんなさい…
私:殺す気は無いから安心して
夫:ヒ素死ぬけど!?
私:そんなの冗談に決まってるじゃない
夫:冗談に聞こえない
私:殺す気ならもうとっくにあんた死んでるよ
夫:そんな前から憎んでるんだ!?どうして僕と結婚したの!?
私:金
夫:正直!
私:昔から嘘がつけないの
夫:確かに嘘はついてない!けど腑に落ちない!!
私:唯一ついた嘘をあげるなら、神父の【生涯愛することを誓いますか?】の問いに「はい」と答えた時くらいね
夫:よりによって神の僕(しもべ)に嘘ついたんだ!?
私:最初から愛は無いしね
夫:今ぶっちゃけるのそれ
私:私嘘つけないから
夫:ついて!そういう嘘はついて!
私:こんな私とじゃあなた幸せになれないわよね
夫:いや、…でもね。なんだかんだ言っても僕は君のこと好きだし…
私:うわ、キモ
夫:本当に嫌いなんだね!すごいビックリするよその返し!
私:なぁんてね
夫:?!
私:冗談に決まってるでしょ?
夫:え?何が?
私:全部よ
夫:あ、ああ、そうなの!?
私:そうよ、当たり前じゃない
夫:な…なぁんだ!てっきり僕は
私:嘘だよ
夫:嘘かよ!嘘つけないんじゃなかったのかよお前!!
私:あ?お前?
夫:あ、いや…ごめんなさい…
私:嘘つけるか試してみたの。どうだった?
夫:タイミングといい、センスといい…とても嘘が下手とは思えない結果でした
私:嘘が下手とは言ってないわ。嘘がつけないと言ったのよ
夫:嘘が上手い時点で嘘つきじゃねぇか!
私:嘘が上手いからといって嘘をつくとは限らないわよ
夫:屁理屈言うな!詭弁だそんなの!
私:今日何日だ?
夫:え?
私:何の日か分かる?
夫:4月の……あ
私:うっふふ〜ん♪
夫:くっそ!そういう事か!!
私:騙された〜
夫:やられた!上手いなマジで!手が込んでる!こりゃ騙されるわ!
私:でしょでしょ?
夫:やっぱ嘘上手いんじゃん!
私:まぁね♪後はこの調子で貴方が信じてくれたままカレーを食べてくれれば私の勝ち
夫:…………え?
完