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お笑い一発
【コメディ その他小説】

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食後の後悔-1

食べてしまった。

ダイエットを決意したのは昨日。
定例の《ダイエットは明日から》に従い、今日から食事を制限すると決めた私。

それなのに

よりによってお母さんが私の大好物、カレーを作ったのだ。
カレーは最低二杯は食べるという私ルールがある。こればかりは譲れない。
しかしダイエットをすると決めたのは昨日だ。
つまり今日。
ダイエットはお子さま用の小さいお茶碗一杯分のご飯。
カレーは大深皿であるから、ゆうにお茶碗四杯くらいはあろう。
そしてカレー二杯ルールは私が幼い頃に決めたルール。

どちらが重いか考えるまでもない。

カレーだ。

いやしかし待て。

「お前、最近胸より腹が出てない?」

と、彼氏に言われたのだった。
そんなデリカシーの欠片も無い台詞にうんざりしたものの、悪いのは確実に私だし太ったのも事実だ。

だからやっぱりダイエットをしなければいけない。

しかし待て。
どうだこのカレーの匂い。暑い夏で舌がまずくなり、食欲が減退する時期に関わらず、食欲を促進するこのスパイシーな香り。鼻腔をくすぐるこの香りは万人向けでいて、そしてどの季節でも美味しく頂ける。
想像したまえ。
コップには満タンに入れた氷に水が並々と注がれている。
その右隣に位置する湯気だったカレーライス。気温は暑いにも関わらず何故か不快に感じさせない熱さ。
銀のスプーンを右手に持ち、ルーとライスを同時にすくい上げてふうふうと息をかけて軽く冷まし、口にゆっくりと含む。
するとどうだ。
口の中で絡まるルーとライスの魅惑のコラボレーション。鼻で息を吐くと一瞬でカレーの世界に誘われる。
一噛み一噛み味わう度に辛さとほんの少しの甘さがまったりと口内を浸食していく。
そう、カレーを食べているのではない。我々はカレーに食べられているのだ。
いや、幸せに浸っている暇はない。スプーンは次々とカレーをすくい上げ、どんどん口に運ばれていく。
止まらない。否、止められない。誰もカレーの誘惑に抗う術を知らないのだ。
「おかわり」の魔法でまたお皿にはカレーが盛られる。
そしてそして、次の日にはルーが具材に染み込み、もっと美味しくなる。
おでんなどの煮物も翌日まで持ち越すと美味しくなるのと同様だ。
カレーはもっと美味しくなる。私はそれを体感して知っているんだ。


ご馳走様でした。

よし、
やっぱりダイエットは明日からにしよう!



母「明日もカレーよ」
私「はぁい♪」





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