最悪のシナリオ-3
男達は全てを吐き出した後、家を出て行った。
残された私と母は二人、水を被る。
何度も、何度も。
精の匂いは肌にこびり付き、なかなか取れない。
それでも水を浴びる。
「いこうか、お母さん」
「…そうね」
母と二人、私は床を剥がして地下へと進む。
そう。
完璧に壊れてしまいたい。
完璧に死んでしまいたい。
でも
私はまだ死ぬわけにはいかない理由がある。
「皆お待たせ!!」
オオオオオオッ!
私は地下深くに掘った大きな広場の壇上に立ち上がる。
歓声が湧き上がり、私は私を取り戻す。
「今日も輪姦されちゃった!てへぺろ!」
ブゥーー!
「だよねー!同じ様に今日輪姦されちゃった娘ばかりだと思うんだけどね。さて、今日は男性陣どれだけいるかな?」
123…
25人くらいか。
「また、減っちゃったね…」
殆どが女性の集まりになっている。当然と言えば当然か。
男はやはりすぐに殺されてしまうのだ。
「残された男性陣は出来るだけ生き残りを優先して下さい!身体が丈夫な、まだ、赤ちゃんを産める女性とあなた達の血が必要になります!ただレイプはすんな!」
オオオオオオッ!
「女性陣は…今まで通りです。しかしそろそろ草の根活動も結果が出てきました。反政府運動の関西支部との連結が目前となりました!」
オオオオオオッ!
「大和魂を見せましょう!日本はこれから、日本を取り戻します!私達の手で!」
オオオオオオッ!
「武器弾薬は一カ所に纏めないように!練度も元自衛隊員の指導の元、怠ること無く高めて下さい!」
オオオオオオッ!
「西との会合は一週間後です!その後合同で政府に立ち向かいます!」
オオオオオオッ!
「命は捨てろ!私達女性陣も今は死人みたいなものだ!」
オオオオオオッ!
「目指すは国会議事堂!日本の未来は私達の手に掛かっている!」
ワァアアアアッ!
美ー絵!美ー絵!美ー絵!
昔、自衛隊と呼ばれる前の時代。
日本には軍隊があり、特攻隊と呼ばれる部隊があったそうだ。
生きて帰ることを前提としない、死地へ赴く日本の兵士達。
日本は彼らに依って護られた。
今一度、不幸になった日本を取り戻す為に。
私達は戦地へと向かう。
鬼と逢うては鬼を斬り
仏と逢うては仏を斬る
斯くの如くんば行く手を阻む者
悪鬼羅刹の化身なりとも
遅れを取る可けんや
戦う理由が私達にはある
もう、好きにはさせない
私達プロパガンタが
日本の明るい未来を
願って
「皆、逝くよ!」
完