第四章 淑女墜落-10
冗談じゃない、こんな状況で店主らと顔を合わせられるわけがない。
言葉を交わせられるわけがない―――。
キリキリと痛む下腹部は凄まじい排泄感に見舞われ、熱を帯びた肉体は身体中の性感帯を敏感にさせている。
硬くしこった乳首に至ってはワンピースの生地が触れているだけでもジンジンとした鋭い愉悦が走っている。
とてもじゃないが、平静を装うことすら難しかった。
「おお、ゲンさんに中原さんに田所さん。ずいぶん遅かったじゃないですか〜」
奥のほうからヒョコッと顔を覗かせてきた大村が、満面の笑みで歩み寄りながらササッと店の入り口ドアに【CLOSE】のプレートをかける。
「いや〜、カカアのやつが時間通りに帰って来ねえもんだからさ、ほんと申し訳ない。っで、今日の集まりって一体に何だい?」
「まあまあ、とりあえず奥に入ってお茶でも飲みましょう。今日はね、とっても素晴らしいゲストが来てるんですよ。ふふっ」
訝しげに首を傾げる源太郎たちを、大村がニコニコしながら奥の部屋へと連れて行く。
「ささ、テーブルも何もないけど、まあ適当に座ってください」
「へいへい、お邪魔しま〜す」
大村の後に続いてやってきた源太郎たちは、部屋に入るや否や眼を丸く見開いておもいっきり眉を釣り上げた。
「お、お、お、奥さんッ?」
「エエッ? ありゃ、ほんとだッ!?」
思いもよらぬゲストに、源太郎と中原が驚嘆の声を上げた。
田所のほうは驚きのあまり声すら失っていた。
「ほらほら、三人方もこちらへ来て腰を下ろしなさいな」
張元が肉付きのよい丸顔をニンマリさせながら促す。
三人は小さく会釈しながら中腰の姿勢で部屋に入り、美優の前でゆっくりと腰を下ろした。
「奥さん、用事ってコレの事だったんですかい?」
「え、ええ、ちょっとカメラのことで大村さんにご相談があったもので……」
源太郎に鋭く睨まれながら、美優がたじたじと答える。
中原と田所の眼は、美優の胸元一点に向けられていた。
凛とした正座の姿勢をとっている美優。
背筋をピンと伸ばしているせいで胸元が張り、薄いワンピースの生地からは乳房の尖端にある突起物がハッキリと浮き出している。
そのことに美優本人は気付いていないのか、ときおりクイッと腰を引く仕草は見せるものの、またすぐにグッと胸を張ってみせた。