第5話 さらなる陵辱-1
第5話 さらなる陵辱
――数日後
いつものように、笑顔で裕一を見送った紗希。
だが、裕一の姿が見えなくなると、顔はすぐに曇ってしまった。
蛇沼に弱みを握られ、陵辱されたあの日から、新妻の日常は一変していた。
あれから蛇沼は、何度となく夫婦の家にやってきた。
写真は返されても、相手の手元にはネガがあった。
蛇沼は、我が物顔でやって来ては、紗希を陵辱した。
どんなに理性を保とうとしても、あのグロテスクで卑猥なモノに新妻の情欲が刺激され、よがり狂わされてしまうのだった。
紗希は、そんな自分を嫌悪し、裕一に会わせる顔がないと自分を責めた。
だが、夜になれば、何も知らない裕一が帰宅してくる。
紗希は、裕一の前では秘密を胸の奥に隠し、何事もなかったかのように振舞った。
そうやってウソを重ねるのが上手くなっていくのだろうかと、裕一の顔を思い出しながら、一人、ため息を吐くのだった。
それでも、今の紗希にとって唯一の救いは、少しずつネガは返され、残りも僅かになっていることだった。
とは言いながらも、またあの男がやって来るのかと思うと、やっぱり気分は晴れなかった。
鬱々とあれこれ考えながら家事をこなしていると、
ピンポーン……。
(きっと、蛇沼さんだわ……)
居留守を使うといった姑息な手段は通用しない相手だった。
紗希は、諦め、重い足取りで玄関に向かい、ドアを開ける。
すると、そこには別の男が立っていた。
細身で長身なのは裕一と同じだが、その顔は馬のように細長く、後ろに撫でつけた髪をテカテカと油で光らせた貧相な中年男だった。