第5話 さらなる陵辱-3
「おらっ!ジタバタするんじゃねえよ。いいのか?この写真がどうなっても」
急に、馬淵の態度が剣呑なものに変わった。
恐怖の余り、紗希の腕から抵抗する力が抜けてしまう。
男の目的が自分の身体であることは明らかだった。
いつもは、愛嬌のある馬面が男の人の良さを感じさせていた。
しかし、今、目の前の馬淵は、ただでさえ大きな鼻穴を膨らませ、鼻息も荒く、小さな目で紗希を睨みつけているのだった。
(いつも明るくて、親切な酒屋のご主人が……男の人って結局、みんなこうなの……)
止まらない陵辱の連鎖に、紗希は、目の前が真っ暗になる思いだった。
(みんな、何で私に厭らしいことするの……私って、そんなに厭らしい身体してるの……)
男の目を惹きつけてしまう自分の身体を恨めしく思った。
しかし、紗希には、馬淵を追い返すという選択肢はなかった。
「……写真は、それで全部ですか……?」
「ああ、全部だよ。蛇沼が持っていたのを全部買ったんだよ。アイツも金に困っているみたいだったからな」
馬淵が持っている写真とネガの枚数は、紗希が記憶している残りの数と一致した。
男の言葉に嘘は無いようだった。
紗希は、覚悟を決めた。
(これが最後……今日だけ我慢すれば、また元の生活に戻れる……)
(だから裕一さん……ゴメンナサイ……許して……)
「……分かりました……あなたの言う通りにしますから、その写真とネガを返して下さい」
「へへっ、話が早えな。ほらよっ」
ぞんざいな態度で放り投げたそれを手に取る紗希。
見覚えのある写真にネガ。間違いなく、残りの全てだった。