嫉妬-5
「修!」
少し高めの細い声が背後から聞こえて、ゆっくり後ろを振り返った私は、驚いて目を見開いた。
「郁美……」
「あれぇ、桃子じゃん」
制服姿の郁美は、カバンを肩にかけていつもの人懐っこい笑顔で私のそばに駆け寄ってくる。
「お友達と一緒?」
郁美は、沙織ににっこり微笑んで頭を下げた。
沙織も小さく会釈を返す。
「二人は……デート?」
心臓の鼓動がドッドッドッと早まっていく。
すると郁美は満面の笑みで土橋くんの腕に両腕を絡ませ、
「そうなの!」
と嬉しそうに言った。
途端に私の胸がズキ、と苦しくなる。
そんな私に気付かない土橋くんは、困ったような笑顔で、
「恥ずかしいからあんまくっつくなよ」
と、郁美を制した。
すると彼女は頬を膨らませてその手を放し、“別にいいじゃん”と呟いて。
そんなやり取りがあまりに自然で、ザワザワと胸の辺りがざわめいた。
「……ところで修は桃子達となんの話をしてたの?」
郁美の問いに、土橋くんはポケットからさっき私があげたプリクラを見せ、
「おー、こいつらがプリクラ交換してたから、俺ももらったんだ」
と、説明した。
一瞬だけ、郁美の顔が曇ったような気がした。