嫉妬-2
「……それにしても、正直沙織が大山くんとこんなにうまくいくと思わなかったよ」
私はもらったプリクラを自分の手帳にさっそく貼ってしげしげと眺めながら言った。
「うん……。実はあたしもそう思う。まさかこんなに倫平のこと好きになるとは思わなかったもん」
沙織は顔を赤らめながら、私の手帳をのぞき込んだ。
私は伏し目がちになった沙織の長い睫毛を見つめながら、尋ねた。
「ね、大山くんのどんなとこが好き?」
私の唐突な質問に、沙織はさらに顔を赤くして辺りをキョロキョロ見回した。
まばらなフードコートでは、私達に気をかける人は誰もいないのに。
「な、なんでいきなりそんなこと聞くの!?」
「いいからいいから」
私のニヤニヤした視線に観念したのか、しばらく黙ってからゆっくり口を開いた。
「優しいとことか、一緒にいて楽しいとことかはもちろんなんだけど……、やっぱり倫平があたしのことを好きでいてくれてるってのが一番大きいかな」
沙織は照れながらもまんざらでもない様子。
それでもやはり気恥ずかしいのか、左手を頬にあてて、右手で自分の火照った顔を扇いでいる。
うーん、可愛い。
そんな沙織の様子を大山くんに見せたら嬉しくて舞い上がるんだろうな、と勝手な想像をした。
でも、きっとそれは当たっているだろう。
ずっと好きだった沙織が彼女になってくれて、こんな風にのろけ話をしてくれるほど自分のことを好きになってくれたのだから。
沙織の照れた笑顔からは、彼女が少し前まで土橋くんを好きだったとはとても想像できなかった。
以前、土橋くんを好きだったと言う話をしてくれたときの沙織も、まさに恋する乙女という感じでとても眩しく輝いて見えたけど。
今やそんな彼女の心は、大山くんでいっぱいなんだ。
嬉しそうにプリクラを眺めている沙織を見ながら、いずれ私の気持ちも変化が訪れるのかな、とボンヤリ考えた。