いつでも、いつまでも-1
朝、寒さでいつもより早く目が覚めた。
夏の終わりなのに寒いなんて、と思うと隣がやけに冷たい。
トイレとも考えたが布団が冷たすぎる。
「ユーヤ…?」
返事が無い。
「ユーヤ?いないの?」
1Kのアパートには十分すぎるぐらいの声を出して呼びかけた。
しかし、返事が無い。
「……」
急に恐怖に包まれる。
「ユーヤ!ユーヤ!ユーヤァ!ユーヤッ!…ッユーヤ!ユー…!」
ゴホゴホとむせて涙が溢れ出る。
泣きながらひたすら彼の名を呼ぶ。
付き合って1年。同棲して3ヶ月。
今まで一度もこんな事無かった。
チャーラララララーラーラーララー…
突然着メロが鳴り響く。
彼に設定してあるメロディじゃない事は分かっていたが、それでも希望を持って出てしまう。
「もしもし…」
「あ、ナオ?おはよ!」
友達のユカリだった。
分かっていたが、がっかりしてしまう。
だが、ユカリが言った言葉は驚くべきものだった。
「ちょっとー!ユーヤ君とケンカでもしたの!?朝早くにうちに来てナオ宛に手紙置いてったよ?」
「嘘…!」
ユカリの口から彼の名前を聞いて、驚きを隠せない。
「ユカリ!今すぐその手紙見せて!ユーヤは!?ユーヤ、どこ行ったの!?」
「ナオ!?どうしたの!?泣いてんの!?」
「お願い!早く……手紙見せて!」
「ちょっ……ちょっと待ってて!今からそっち行くから!」
そう言って電話は切れた。
「ユーヤ……どうして…?」
ユカリが来るまで、最近の彼を思い出してみた。
『なぁ…ナオ』
『んー?』
『いや…何でもない』
『変なユーヤ!』
『ははっ…』
彼は最近少し変だった。