いつでも、いつまでも-2
それが関係してるのかと考えると自分を責めてしまう。
ピンポーン
「ナオ!」
ユカリが来た。
「手紙はこれよ…」
ユカリから手紙を受け取る。
震える手で手紙を開く。
「私…ちょっとコンビニ行ってくるね」
ユカリの気遣いに感謝しつつ、手紙を読み始めた。
「ナオ…ごめん…」
〔ナオ…ごめん…。いきなりいなくなったりして。ナオのことだから朝起きたら泣いていたんじゃないかと思う。ごめんな。俺がいなくなった理由は分からないと思う。分からないならそれでいいんだ。最後までこんなんでごめん。でも、いつまでもナオを愛してる。〕
手紙を読んだ後は不思議と落ち着いた。
新たに涙が流れる事も無く、妙に落ち着いている自分がいた。
彼の字のクセ、間違えた字を消した跡、全てが愛しかった。
ユカリは冷静な私を見て、逆に心配していた。
大丈夫、と言って笑うとようやく彼女も笑った。
それから3ヶ月。
長い間鳴る事の無かった着メロが響いた。
しかし、彼の携帯を使っているのは彼ではなく彼の母だった。
用件は彼が亡くなったということ。
末期のガンだったそうだ。
3ヶ月前はもう全身に転移していた、と聞いた。
「最後はもう喋る事もできなくて…必死に南緒さんの写真を握り締めて…」
それを聞いた時、自分でも不謹慎と思うが、死ぬ程嬉しかった。
私は涙を流したが、それは嬉し泣きだったと思う。
「何度もあなたを呼ぼうと思ったんだけど…悠哉が呼ぶなって言って…どうしてか分からないんだけど…」
彼らしい、と思って思わず笑った。
「私からは嬉しいお知らせがあります。実は昨日病院に行ったんですけど…」
1週間後の彼のお葬式に少しふくらんだお腹を抱えて出席した。
式の前、彼の手を持ってお腹にあてた。
不思議と手は冷たくなかった。
「ユーヤ、久しぶり」
久しぶりに呼んだ彼の名前。
私の大好きな名前。
名前を呼ぶだけでいつでも会える。
だって彼は私をいつまでも愛しているから。