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追憶の欠片
【歴史物 官能小説】

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第一夜-10

彼といると、なぜだか亡き兄と一緒にいるような感じがする。
雰囲気こそ違うものの、先ほど感じた温もりは兄の持っていたそれとよく似ていた。

「……分かり、ました」
だからこそ、心配で。ほっとけなくなる。
「大丈夫」、いつもそう言って優しく頭を撫でてくれた日だまりのような優しい笑顔には、もう記憶の中でしか会えないのだから。

琥珀は躊躇いながらもそれを口にする訳にも行かず、ここは彼を信じることにして小さく頷いた。一般人にしては腹も据わっているようだし、何より早く帰らなければ琉依が恐ろしかった。
琥珀は小さく頭を下げ、彼に背を向け一歩歩き出すも、ふとゆっくりと後ろを振り返った。

「あの、貴方の名前は…?」


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