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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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18 惨劇の記憶-2

 黒鱗が消えるにつれ、アレシュは正気を取り戻し、徐々にカティヤ以外にも普通に接する事ができるようになった。

 だが、あまりにも長期間、魔力を溜め込んでしまったせいだろうか。
 あの乳母の話とは違い、カティヤは魔力を得ても、アレシュには魔眼が残ってしまったが、手足の枷も外す事ができ、半年経つ頃には、城内の一角を自由に歩けるようにまでなった。

 その矢先、マウリという大臣が突然、カティヤをしばらくの間、遠い地に隠す事を進言したのだ。
 カティヤを蛮族の手から守るためだと言う。

 メルキオレは即位してすぐ、蛮族といえどむやみに虐げないよう、厳しく命じたが、昔から隷従を強いられている蛮族の不満は、大陸各地で年々高まりつつある。

 数ではるかに勝る蛮族が、魔法使いに反乱を起こし、滅びた小国もいくつかあった。
 元は蛮族のカティヤが、今は時期王アレシュにとって、なくてはならない存在だ。
 彼女を攫い、反乱を企んでいる蛮族がいるらしいと、繰り返し主張した。


 マウリは前王の時代から務めている有能な大臣だったが、やや強引なところのある男だった。
 反対するアレシュと国王夫妻を熱心に説き伏せ、カティヤの居場所がわかる追跡ペンダントを持たせ、あとからアレシュも行くという条件で、ようやく同意させた。
 アレシュとしては、一時でもカティヤと離れるのは嫌だったが、彼女のためだと言われれば、それ以上拒めない。

 ペンダントの波動を受けれる魔石を髪につけ、カティヤの居場所をペンダントが知らせる日を、ひたすら待っていた。
 しかし、いつまで経ってもペンダントは居場所を知らせず、代わりに届いたのは、カティヤがマウリの部下ともども、ゼノ地方で盗賊に殺されたという報告だった。
 周囲が止めなかったら、取り乱したアレシュはマウリを焼き殺していただろう。

 マウリはカティヤが殺されたのは自分の過失が大きいと辞職し、引き止める周囲の声も振り払い、地方の領地に引き篭もってしまった。
 有能な彼にしては失策と批判もあったが、不運だったと同情の声が多く、領地で隠遁生活を過ごしていると聞き、アレシュもそれ以上は関わらなかった。
 怒りにまた我を忘れてしまうのを恐れ、関わりたくなかったのだ。


 その後、エリアスが来て魔眼暴走の対策も取れるようになり、メルキオレに頼んでゼノに移り住ませてもらった。
 リザードマンも盗賊も多く、危険な死に隣接するあの地なら、王都より魔眼暴走の数も比較的すくない。
 表向きはそう告げたが、カティヤが最後にいた場所に少しでも近くいたかったのが本音だった……。



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