新しいピアス-17
「潤」
「今の俺は千明を好きにはならない」
千明の目を見てはっきりと言った俺の手を
ゆっくりと離した。
「もう、本当にダメなの?」
「もう、じゃないよ。3年前に終わってるんだよ」
「私を・・・無視しないで。
私の存在を、忘れないで」
「無視なんてしない。今は同級生だろ?
存在も忘れない。千明は俺の高校時代の全てだ。
今の俺が誰を好きでも、高校時代の俺は千明だけが好きだったよ」
「・・・・」
「3年前。別れる時に言えなかった言葉をやっと言えるよ。
『ありがとう。千明』」
「潤・・・」
あんなに強がっていた千明の目から涙がこぼれ落ちる。
「ごめんなさい。
あの時、何も言わないでいなくなってごめんね。
この1週間。つきまとってごめんね。
あの子にも、謝っておいて」
「ん」
「もう帰って。これ以上そばにいられると辛い」
「ん。おやすみ」
そう言って俺は千明のアパートをあとにした。