新しいピアス-13
どうも奴らにハメられたらしい。
泥酔状態の千明を家まで送ることになって
タクシーに乗った。
千明の友達から千明の住所を教えられ
無理やり二人でタクシーに詰め込まれた。
寝ていても俺の手を離さない千明に
加奈には悪いと思いながら
その手を無理やり解くことができない。
流れる夜景に3年前を思い出す。
今、加奈を好きな気持ちとはまた違った気持ちで
千明に夢中になった。
何もいらないと思った。
千明さえいてくれれば俺は満足で
千明だけが俺の全てだった。
あれから・・・
トシを取ったのか
大人になったのか
将来が見えてきたのか
加奈を好きな気持ちは少し違う。
加奈を大切にしたいし
出来れば加奈を幸せにするのは俺でありたいよ。
そんな感情は運転手の「着きましたよ」という声に中断された。
「千明。ついたよ」