投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 110 アンバランス×トリップ 112 アンバランス×トリップの最後へ

夢と記憶-8

「そこまで言われると照れるなぁ……」

 ケイはポリポリと指で頬を掻いて、困ったように笑う。

「そんな良いもんじゃ無いけど、ポロがそうして欲しいなら喜んで」

 ケイがポロの布団を少し捲ると、彼女は横にずれてケイのスペースを空けた。
 ポロの横に滑り込んだケイは腕を差し出して、おいでおいでと手招きする。
 その腕にそっと頭を乗せると、ふわりと身体全体で包み込まれた。

〈……あったかい……〉

「そっか……良かった」

(俺的にあんま良くねぇけど)

 さっき、まざまざとポロの濡れ場を見たばかりだ……幼い外見のクセにやる事が無茶苦茶いやらしくてエロかった。
 好きでやっていたワケじゃないのは分かっているが、どうしても想像してしまう。

(……生殺しだ……)

 安心して寝息をたて始めたポロとは違い、若干腰が引き気味なケイは眠れぬ夜を過ごす事になったのだった。


 火山に登り始めて3日目。
 やっと3人は火口に辿り着き、安堵のため息をついた。

「アビィならあっという間なんだろうなぁ……」

 いつもはファンの宮廷魔導師エンがパートナーの火の精霊アビィ(見た目はドラゴン)に乗って来ると言っていた。
 空を飛べるなら急勾配の山道を登らなくていい。
 ポロの枷を外してもらう為とはいえ、ぼったくられたかもしれない、とゼインは思った。

「魔草ってこれか?」

 スランがしゃがんで足元にある紫色の花を指差した。

「んっとねぇ、似てるのがあるから間違えるなって言ってた」

 カリーはウエストポーチから魔草の資料を取り出す。

「ええっとぉ……欲しいのは花の真ん中が黄色いの。白いのは痒くなるから触るなって書いてある」

 カリーの言葉にゼインは顔をしかめた。
 触るなと言われても花は小さい。
 どうやって花の中心を確認しようか、とゼインは唸った。

「ゼインは細かい事苦手だもんにぃ〜?」

 カリーはニヤニヤして胸の谷間から細いダガーを取り出す。

「私とスランでチェックしてくから、ゼインはそれを集めて〜おっけぃ?」

「……おっけぃ」

 どうせ不器用ですよ、とゼインはぶすくれて荷物を降ろし、中から麻袋を引っ張り出した。

「チビ、不器用なのか?」

 スランは懐から出したダガーを、これ見よがしに指でくるくる回して聞く。

「うっせ。チビって言うな」

 ゼインはぶすくれたまま答え、カリーの示した花を摘んでいく。


アンバランス×トリップの最初へ アンバランス×トリップ 110 アンバランス×トリップ 112 アンバランス×トリップの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前