夢と記憶-5
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ゼインとスランは同時にパチリと目を開けた。
((うわ……思い出したく無いもん、夢に見た……))
脳裏に焼き付いた昨夜の出来事……お互い忘れたくても中々忘れられそうに無い。
唯一の救いはここに居るカリーの存在。
((やっぱ、女最高〜))
スランは抱きついている腕に少し力を入れてカリーの軟らかい肉感を楽しみ、ゼインは鋭い嗅覚でカリーの甘い体臭を胸いっぱいに吸い込んだ。
そうして少し落ち着くと、2人は再び目を閉じて眠りに落ちる。
「???」
同時にもぞもぞと動いて、同時に寝息をたて始めた男2人に、カリーは怪訝な顔をして首を傾げるのであった。
その頃、街のポロも悪夢を見ていた。
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薄暗くすえた臭いのする石壁の地下室。
地下室だと思ったのは窓が無かったからだ。
その部屋の真ん中に設置されている手術台に、ポロは寝かされていた。
肩の少し下辺り、腰、脹ら脛の3箇所に太いベルトが巻かれて台に固定されている。
何をされるか分からないが、飼い主は「新しい生命の誕生」だと言っていた。
新しい生命の誕生なら死ぬ事は無いだろう……と思ったのが間違いだった。
「被験体18番。実験開始」
常に顔の上半分を仮面で隠している飼い主は、静かな声で宣言して手の平程の大きさの瓶をポロの口元に持ってきた。
左手でポロの顎を掴み、無理矢理口を開かせる。
ドロリとした赤黒い液体が瓶から流れ、意志を持ったようにビュルッとポロの口に入った。
ドクン
身体が大きく跳ねて手術台がガタンと揺れる。
(アッ?!アアァーーー!!イヤっ!!)
身体の中でさっきの何かが暴れていた。
灼きつくような痛みが血管を通って全身に広がり、激しく身体が痙攣する。
(ヤメテっ!!オネガイっ!!タスケテ!!)
ポロはすがるように飼い主に目を向けた。
飼い主の仮面の下は異様な形に歪んでいる。
笑顔なのか何なのか分からなかったが、ポロを助ける気は無いようだ。
ボコリ
腹部から胸までがあり得ない程に波打って、内側から裂けそうになる。
(イヤっイヤっイヤァーーーーーーー!!)