秘密-6
ひとしきり泣いて、ようやく少し冷静になった私は、沙織から離れ二人の顔をジッと見た。
沙織も大山くんも口をキュッと結んで黙っている。
「……二人とも、気まずくしちゃってごめんね」
私は鼻をすすりながら言った。
「そんなの気にしなくていいよ」
大山くんと沙織は、顔を見合わせてから二人揃って頷いた。
「でも、気持ち吐き出して泣いたらスッキリした! 聞いてくれてありがとう」
私は人差し指で目をこすりながら少し明るい声を出した。
溜め込んでいたものを聞いてもらうだけで、こんなにも楽になれるんだ。
「でね、お願いがあるんだけど……。えっと……私の気持ちは誰にも……土橋くんにも秘密にしてて欲しいの」
私の言葉に二人はハッとした顔で私を見つめる。
「だって、土橋くんは郁美とちゃんと向き合ってやり直すんだし、私の気持ちなんて知る必要ないでしょ?」
「それって辛くない……?」
沙織が声を震わせながら私に言う。
私は首を横にゆっくり振り、
「気持ち知られて気まずくなる方が辛いから」
と呟いた。
大山くんの前だからはっきり言えないけど、自分の気持ちを押し隠して土橋くんと友達でいることを選んだ沙織なら、きっと私の気持ちをわかってくれるはずだ。
それに、私なんかに好きになられたって、アイツにとっては迷惑でしかないのだし。
「私なら大丈夫だから。今まで通りでうまくやるから、二人とも変に気を使わないでよね」
そう言って立ち上がり、時計を見た。
もうすぐ授業が終わる。