投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

三叉路 〜three roads〜の最初へ 三叉路 〜three roads〜 77 三叉路 〜three roads〜 79 三叉路 〜three roads〜の最後へ

秘密-2

「多分彼女からだよ、昨日のさ。なんかやり直したみたいだよ」


哀れに思われたくなくて、私は思いっきり笑顔で言った。


「え……嘘でしょ!?」


沙織はびっくりして大山くんの顔を見るけど、彼は沙織の顔を見れずに下を向く。


「よかったよね! 郁美もずっと土橋くんとやり直したかったんだし、私もそうなって欲しかったし」


「だって……そしたら桃子は……?」


沙織は私の顔を心配そうにじっと見つめている。


やがてその大きな瞳が、みるみるうちに潤んできた。


私は机の上で組んだ手をじっと見つめる。


「さ、沙織……落ち着いて」


大山くんがオロオロしながら沙織をなだめようとするけど、沙織は彼のブレザーの裾を掴んで、一言、


「……ひどいよ、修」


と、呟いた。


泣き出しそうな沙織とは裏腹に、不思議と彼女が感情的になるほど自分は冷静になれた。


そしてなんとか慰めないといけない気になって、私はそっと沙織に笑いかける。


「沙織、前も言ったけど私と土橋くんはただの友達で、本当にそれだけなの。だから、私は本当にあの二人がヨリ戻してよかったって思って……」


「嘘!」


しかし、沙織は大きな声で私の言葉を遮り、睨みつけるようにこちらをジッと見た。


クラスメートが何人か沙織の声に驚いて私達の方を見る。


机に突っ伏して寝ていた男子も飛び起きて、びっくりした顔をこちらに向けている。


思わぬ所で注目を浴びてしまい、私も気まずくなって下を向いてしまう。


すると、ずっとオロオロしていた大山くんが、意を決した顔で、


「場所変えて話そうか」


と、椅子から立ち上がって私達の顔を見た。




三叉路 〜three roads〜の最初へ 三叉路 〜three roads〜 77 三叉路 〜three roads〜 79 三叉路 〜three roads〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前