契約A-7
しかし残りの十人の中には二番目に素晴らしい太腿の持ち主である美波と、ここ最近学校を休んでいる澪も含まれている。
そして、今まさに剛直をくわえさせている友美も……。
「んぐぐッ! ん゛ッ! んんッぐッ! んッ、んくッ、んくッ……」
空は薄暗くなっていた。
春先の夕暮れに、友美の温かみが広がっている。
だが射精を全部吸い出されると、その体温はなくなった。
「気持ちよかった?」
「あぁ……ありがと……」
にこっと笑う友美。
彼はその表情に吸い込まれ、膝枕に頭を沈めた。
今ここ、屋上には、彼らしかいない。
昼休みはあんなに沢山侍らせていた修一が、今は友美しか呼んでないのだ。
「嫉妬……なのかな?」
「え?」
友美は修一の髪を撫でてはいるものの、いつものように顔をのぞき込んではいなかった。
夕闇の、もっと向こうを見ているような視線は、修一からは確認出来ない。
「片桐君ってさ、私のこと……どう思ってるの?」
「どうって……」
修一には解らない。
いや、好意はあるのだろうが、それを伝えていいのかが解らないのだ。
「セフレかな? でも麻里子ちゃんとか愛理ちゃんとか、他にも一杯いるよね?」
何も言えない修一。
友美にも残りの三つの催眠を掛ければこんな難しいことを訊かれずに済むのだろうが、彼は、友美にだけはそれをしたくはなかった。
それは理屈では説明できない不思議な感情……好きだからこそ、出来ないのだ。
「何だろう。嫉妬するってことは、自分で思ってるより好きってことなのかな? 片桐君のこと……」
「ちょ、待てっ」
修一は慌てて飛び起きた。
「それ以上、言わないでくれ……」
「あ……迷惑、だよね……」
「違うっ!」
悲しげに視線を落とす友美の肩を修一は強く抱いていた。
しかし
「違う、けど……」
至近距離で見つめ返されると、意味の解らない緊張感に襲われ口どもってしまう。
「その……好きっていうのと、エッチしたいっていうのは、別っていうか……」
「知ってる。男の人って、心と体は別なんだよね?」
修一は何も言い返せず、友美の肩を離していた。
「ってことは、私はやっぱりただの、セフレ……なのか……」
また彼女の視線が下ろされていく。