契約A-13
「でもでもっ…………何でなんや……」
クランは変わらず、どこか戸惑ったよう声色で言いながら視線の遣り場を失っていく。
「あっ、えと……そう! クランは特別だからっ……だよ」
クランは悪魔だ。
しかし、羽も尻尾もなく、普通に服を着ていれば、髪が赤いと言えど子供にしか見えない。
そんなクランが悲しそうにしている姿を目の当たりにして、修一は必死で宥めにかかる。
「あ〜ぁ、俺の魂はクランのものになったのか。まぁ、契約したなら仕方ない」
「修一……?」
「寿命が解らないなら死ぬまで一緒にいたらいい。俺が責任持って面倒見てやる」
顔を上げたクランの頭を撫でる修一。
それに対し、彼女は
「めっちゃきしょいで?」
と言ってのけ、彼は髪を撫でる手を両手に変えくしゃくしゃにしてやったのだった。