禿の需要-1
ぺちん
「部長、お茶が入りましたどうぞ」
「おお、ありがとう山田さん」
ぺちん
「部長、企画書できましたどうぞ」
「ん、ああ仕事早いね田中さん」
パチッ
「部長、私ちょっと体調悪いので帰ります」
「ええ?またかい佐藤さん。頼むよ、体調管理も仕事の一環なんだから」
パチッ
「部長、ちょっと背中痒いから掻いて下さい」
「え?あ、加藤さんか、うんいいけど…」
パァアンッ
「ん、斉藤さん?」
「部長、セクハラなんで加藤さんに触らないで下さい」
「いや、今頼まれたからね」
パァアンッ
「部長、社長が呼んでます」
「あ、ああ、ありがとう秋山さん」
コンコン
「失礼しま――」
スパァアンッ
「山崎部長、最近あなたの部署の成績がとてもいいわ」
「ありがとうございます」
「下がりなさい」
「…それだけでございますか?」
「早く下がれ」
「畏まりました」
…
「…ふう」
ぺちん
「部長、お茶です」
「ああ、山田さん新しいの淹れてくれたのか。ありがとう」
ぺちぺち
「部長、そろそろ定時です。今日は皆で呑みに行きませんか?」
「ああ、いいね。行こうか」
「わぁい」
「キャー」
「やったぁ!」
ぺちん
パチン
ぺちぺち
パァアンッ
キュッキュッ
スパァアンッ
今日も部長の頭は心地良い音を奏でた。
皆やっぱりハゲが好き。
完