14 雌雄の身体*性描写-2
面白くなさそうなミスカに、エリアスはひらひら手を振る。
「以上です。さ、夜食の続きをどうぞ」
「どうせ冷めちまった。あとにするさ」
軽い口調と同時に、浴槽の湯が勢いよく幾筋もの噴水に吹き上がる。
「ミスカっ!?」
ゼリー状の細長い触手と化した湯に手足を絡め取られ、エリアスは驚愕した。
ミスカの得意技といえ、呪文の詠唱も無かったのに……。
「ははっ、どうよ。『進化』は退屈な留守番の役得だろ?」
応戦しようと開いたエリアスの口に、触手の一本が素早く潜り込み、舌を包んで捕らえる。
「ひゃ!?」
湯の触手は暖かく、プニプニ柔らかい薄膜に包まれていた。
簡単に破れそうなのに、いくら噛んでも薄膜は切れない。
そして四肢に絡んだ触手は、エリアスをなんなく持ち上げ、ミスカの前に差し出す。
「よっ、と」
エリアスの手を掴み、ミスカが半端だった全身を抜き出した。
すでに浴槽の湯は、全てゼリー状に凝固しており、黒い布靴を履いたミスカの足は、沈むことなく柔らかな表面に立つ。
グニャグニャ柔らかい湯面へ、仰向けに押し付けられる。
「てめぇで指ツッコんで掻き出すなんざ、味気ねーだろ。俺が中まで綺麗にしてやるよ」
身動き取れないエリアスの耳元に囁く、淫靡な低音。
「っ」
嫌すぎる予感に、ギクリと身が竦む。だが呪文が唱えられなくては、男にも戻れない。
両足の触手が膝を強制的に曲げ広げさせ、閉じた女陰が晒された。
「みひゅひゃ!ひゃめひゃはい!(ミスカ!やめなさい!)」
「おー、そのしゃべり方、可愛いな」
乾いた秘所は柔らかな肉割れを慎ましやかに閉じていた。
恥毛もなく、色もごく薄い桃色を帯びているだけで、宿であれだけの痴態を演じた箇所には到底見えない。
ゆうゆうとしゃがみこみ、口元に嫌味たっぷりな笑いを浮かべたミスカが、淫唇の縦すじに沿って下から指でなぞりあげた。
ヒクン、とかすかにエリアスは身体を震わせる。
「あんなんじゃ、まるきり満足できねーだろ?我侭なお前の抱き方は、難しいからな」
指は小さな蕾に到達し、ぞんざいな口調と裏腹な、触れるか触れないかの繊細な愛撫を開始する。
控えめすぎるほどの触れ合いの末、ようやく陰核が僅かに充血してくると、薄皮を丁寧に剥き、また控えめな愛撫を施す。
触手たちも主の動きに連動し、拘束は少しも緩めぬまま、胸やわき腹、内股や二の腕までも撫であげる。
時間と手間をたっぷりかけ、非常に感じにくいエリアスの身体を、ゆっくり執拗に弄り続ける。
「っん、ん……」
眉をひそめ、背筋をはい上る感覚を遮断しようと努めるが、うまくいかない。
コイツを楽しませる反応などしてやるものかと思うのに、閉じる事の出来ない口から、唾液と鼻に抜ける声が漏れ、浮き加減の腰が切なげに揺らぐ。
欲求は、ゆるやかだが着実にせり上がり、蕩け出してきた蜜が、ミスカの手をベトベトに汚していた。
胎内へ緩やかに抜き差しされるたび、タイル張りの広い共同浴場に、淫靡な濡れ音が大きく響く。
「ひゃ……ぅ……ぅ……」
「そろそろ激しくして欲しいだろ」
小憎たらしい旧知は、埋め込んだ指を大きく動かす。
内部の一点を的確に押され、見えない鞭で打たれたように、エリアスの喉が反る。
白い頬は上気し、紺碧の瞳に涙の膜が張られている。
豊かな双胸に絡みついた触手が、柔らかな膨らみを根元から搾り上げ、形を変える。
淡い色付きだった乳首は色濃く充血し、周囲の輪までぷくりと膨らんでいた。
本数を増やした指に激しくかき回されながら、硬く尖った乳首を唇で挟み、強弱をつけて吸われると、ジンジン痺れる刺激が子宮まで直結する。
着実に溜まる快楽に追い詰められ、背筋がぶるぶる震えだす。
「ふっ……ぅ……」
きつく目を瞑った瞬間、不意にミスカは口を離してしまった。秘所を犯す指もあっけなく抜かれる。
「っと、中だしされて気持ち悪かったの、洗いたいんだったよな?」
思わず見上げてしまったエリアスの目に、満面のニヤニヤ笑いが写る。
ミスカが身体を離すと、かわりに湯の触手が一本、蕩けた蜜壷にあてがわれた。
他の触手より格段に太く弾力のあるそれが、ためらいなく侵入してくる。
「んーっ!んんっ!!」
下肢に巻きつく触手が更にエリアスの腰を高く持ち上げ、左右の両膝が頭の横に来るほど身体を折り曲げた。
身体は柔らかい方だから、負担を強いる姿勢も苦ではないが、どろどろに蕩けた自分の秘所を目の当たりにさせられ、羞恥に眩暈がする。
しかも湯の触手は透明だ。ねじ込まれている膣奥まではっきり見せてしまう。