プロローグ-1
「んっ、んぅ」
「ああっ、イくよ瑞穂!」
「え、ちょっと」
「出るっ!」
瞬間、康平が私から抜けて精を放つ。沢山の精液を胸に浴びせて、彼は私の横へ倒れこむ。
はあはあと荒い息遣いはすぐに寝息へと変わって、康平は夢の彼方へと出掛けた。
「…」
今日は肌と肌を重ねた時間はどれくらいだっただろう。
ティッシュでそれを拭き取りながら私はぼんやりとそんなことを考える。
SEXは嫌いじゃない。これといって好きというわけでもないけど、愛する人と一つになれるあの感覚は幸福感を得られる。
無遠慮に侵入してくるそれを受け入れて、中を掻き回される運動は端から見れば滑稽ではあるが、当人達は必死である。
私の初めてはこの隣でイビキをかいている男、大野康平に捧げた。性の知識がお互いあまりなく、ただDVDでするものを模したような形で生殖行動をしただけだ。
あれから半年は経っているものの、これといった変化もない。
エッチなDVDではもっと長くしているようなんだけど、康平とそこまで長い時間交わることもない。痛みはもちろん最初に比べたら全然無くなってはきたけれど、単調なSEXは気持ちよさをほとんど与えない。
あるにはあるけれど、気付くと彼が果ててしまって簡単に終わってしまう。
SEXが全てではないけど、これがSEXだという感覚もあまりない。他の男に抱かれた経験がないから比べることもできない。
同じようなSEXライフ。愛してる男性に抱かれる悦びは苦痛にもなりうるんだと実感する。
私は裸で眠っている康平を少し恨みがましく見る。彼のモノはもうくたびれていて、さっきまでの大きさや硬さは失われていた。
「自分ばっかり…」
私はそう言いそっとそこへ口を寄せると何の気もなしに口に咥えこむ。よだれをたっぷりと出して舌を絡ませて刺激を与える。
しかし、棒状のそれは何の反応も示さない。確かに性の知識も経験も覚束ない私がそんなことをしたって何の意味も無いのかもしれない。
康平のくたびれたそれをピンと指で弾くと、私も漸く横になった。
ーー足りないーー
私ははしたない女なのか。ここまでにエッチな女だったのか。
ただ欲は、私の心の奥底でぐつぐつとマグマのように煮えたぎっていたんだとーー後になって気付くことになる。