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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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生きる術-17

「しかし、彼女の枷には『鍵』じゃなくて『封印』がかけられている。『封印』はそのままの意味で何かを封じる……良く使われるのは魔物を閉じ込めるとかだな」

「え?それってどういう事?」

 嫌な考えが頭をかすめ、ケイは顔をしかめた。

「この枷は彼女を封じている」

 魔導師の答えにポロは息を飲む。
 膝に置いていた両手がカタカタ震えた。

「心当たりは?」

 魔導師の問いかけにポロは青い顔で首を横に振った。

「そうか……まぁ、そういうワケでだな……何でポロを封じているのか分かるまではそのままの方が良いと思う」

 封印を解いたら何が起こるか分からない……ポロはカタカタ震える手をギュッと握る。

「それと、もうひとつ」

 今度は姫様が遠慮がちに話だした。

「オレとアースの目には、ポロがダブって見えるんだ」

 姫様と魔導師は、実体化してない精霊を見る事が出来る。
 その2人にはポロがそんな風に見えた。

「ダブって?」

 心配そうにポロを見ていたケイは、どういう事だろう、と姫様に視線を移す。

「良く分からないけど、彼女がもう1人居て微妙に重なってる感じ」

「精霊みたいな?」

「ん〜…近からずも遠からずってとこだな……オレにも分かんねえ……」

 こんなのは見た事が無い、と姫様は唸った。
 精霊と人間は所詮別物だが、ポロを見ているとその境目がもの凄く曖昧で思わず目を細めてしまうぐらいなのだ。

 その時、部屋のドアをノックしながら父親が声をかけてきた。

「姫様〜アー坊〜飯食ってくかぁ?」

 父親の言葉を聞いた姫様と魔導師は、窓の外を見て大慌て。

「やべっ、戻るぞキアルリア」

「うん。じゃあね、ケイ、ポロ」

「親父さん、俺ら帰るわ!」

「おう、気ぃつけて帰れや」

 2人はドタバタと慌ただしく窓から身を乗り出す。

「またな」

 そんな言葉を残した魔導師は、姫様を抱いて3階の窓から飛び降りた。

〈?!〉

 ポロは驚いて両手を口に当てる。

「大丈夫だって。ホラ」

 窓辺に立ったケイはポロを手招きして空を指さした。
 空には小さい人影……姫君が街に来ると大騒ぎになるので、魔導師は空を飛んで来たらしい。



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