ピアス-5
あの日。傷ついたのは身体より心だった。
やさしい吉岡先輩を好きだと自覚して
ずっと一緒にいたいと思ってた。
毎晩のように電話をくれる先輩は
もうほかの女の子を抱いていないんだと
なんとなくわかってた。
自分が特別なんだと
勘違いしてた。
でも・・・
私は、本当の彼女じゃないから。
吉岡先輩はあんな抱き方をしたんだと思うと
悲しくて
辛くて
悔しくて
寂しかった。
全然特別なんかじゃない。
そう言われながら抱かれているようだった。
「私、吉岡先輩にとってなんだろうね」
そんな風に心の中をさらけ出してみれば
呆れたようにため息が聞こえた。
「あのさ・・・加奈。
この話は加奈にはだまってようと思ったんだけど」
さくらちゃんはゆっくりと話し始めた。