ピアス-10
「千明。いつ帰ってきたの?」
高校2年の夏に初めて本気になった女。
俺を本気にさせて
俺を夢中にさせて
何も言わずに留学した1つ年上の女。
忘れたことなんかなかったよ。
ずっと好きだった。
その顔も
その髪も
その手も
その声も・・・
すべてすべて、俺の全てだった。
「先週。元気だった?」
そう言いながら彼女の耳に光るピンクのピアスを触り始めた。
癖は変わってないんだな。
お互いがお互いの半身でいられるように
ひと組のピアスを1つづつお互いの耳につけた。
男がピンクかよ。
そういう俺に
潤はピンクが似合うよ。と
クスクス笑いながらカチャンと
ホールを開けてくれたっけ。
それから千明はペアのピアスを触るのが癖になった。
いつも俺がいてくれるような気がすると言って。