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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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元カノ-5

「……桃子」


沙織と大山くんが心配そうな顔で、呆然と立ちつくす私の元へ駆け寄ってきた。


自分の今の顔を、なんとなく二人に見られたくなくて下を向く。


きっと、泣きそうな顔をしているだろうから。


「修もいないし、今日は中止にしようか?」


大山くんがおそるおそる言った。


二人が私に気を遣っているのは明らかで。


でも、そうやって気を遣われると余計に惨めな気持ちになってくる。


同情なんてされたくない。
哀れに思って欲しくない。


二人が私をどんな風に思っているかを考えるとカアッと顔が熱くなった。


大丈夫、土橋くんと郁美のことなんて私には関係がないんだから。


とにかく平気な所を見せなければと思い、顔をあげて二人の顔を交互に見つめてから、


「えぇ〜、カラオケ行こうよ!」


と、不自然なくらい明るい声で言った。


「桃子、平気なの?」


沙織が不安そうな顔で私を見る。


「何が? あの二人はヨリ戻せたらいいよね! 土橋くん、郁美みたいな可愛い娘に好きになってもらえるなんて奇跡なんだから。まあ、そしたら独り身の私は肩身が狭くなるけど」


私は笑いながら言い、自分には関係ないことだから、と言うことを必死にアピールしたつもりだった。


そう、私はただの友達なんだから。


それでも晴れない顔の二人を強引にカラオケに誘った。


このまま一人で帰るのは、正直辛い。


カラオケに着いてからの二人は、まるで打ち合わせたかのように土橋くんのことを口にしなくなり、いつも以上にはしゃいだり、笑ったりしていた。


私もその勢いにつられ、テンションが上がり、普段歌わないような歌を歌って二人を笑わせたり、合いの手を打ったりして盛り上げたり。


だけど、今頃土橋くんと郁美は一緒にいるんだと思えば、たまらなく不安が襲いかかり、そのたびに私はつい叫びたくなるような衝動に駆られていた。



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