月の光と都会の光-2
トイレに向かって歩き出す。
飲み会という場は好きだ。
お酒は好きだし、おつまみや食事が美味しいと尚楽しい。
よくよく考えれば、昔から周りに飲む女の子は少なくて…
学生の時の飲み会では男の子に混ぜてもらってたし、会社でも飲みに行くのは男の人ばかりだった。
久々に女の人の酔っ払ったとこ見てしまった。
可愛くて、ほっとけなくて、なんというか…
羨ましい。
片桐さんの発言もそうだ。
ー大輔、私を置いて帰るの?ー
ー今日くらい一緒にいてよー
かなりドキッとした。
男の人は女の人にあんなこと言われたらどう思うのだろうか。
私には言えない。
昔を思い出す。
私は甘えることも縋ることも昔から苦手で…
最初の彼氏は付き合ってたはずだったけど、いきなり新しい彼女が出来たからって別れたっけ。
その彼女は私も知ってる可愛くて甘え上手な後輩だった。
別れたくないとも言えなくて…
さみしいとも言えなくて…
そう思うと聡の時もそうだった。
昔から変わってない。
片桐さんみたいに言えたら、あの後輩みたいに甘え上手だったら、何か変わっていたのだろうか。
片桐さんと比べて、色気はないし、華もない。
元カノと妹みたいな存在。
甘え上手と甘え下手。
大輔くんは帰るのだろうか。
先に帰る方がいいのかな?
鏡をみると泣きそうな顔がある。
「馬鹿みたい…」
自分の惨めさに笑ってしまう。
"大丈夫"
"守られるだけが女じゃない"
"ちゃんと自分の足で立つんだ"
そう言ってないと心が折れてしまう。
…昔から。
だから変わらないのかもしれない。
わかってはいるけど、どうしても変えられない。
私じゃなくなってしまいそうだから。