狙われたマヤ-2
口の中がほんのりと温かくなる。
「面白いことをする……」
それを飲みこんだ後、社長はマヤの口の中を舐めまわした。
媚薬がわずかに舌の上に残ったのか、そうしているだけで乳首が鋭敏になり、子宮がきゅんきゅんと疼き始める。
社長の目がらんらんと輝く。
同じことを二度、三度と繰り返し、瓶の中身は半分ほどに減った。
気がついた時には床の上に組み伏せられ、焼けるように熱い肉杭を猛然と打ち込まれていた。
獣のような叫びを上げながら、それは何度となくマヤの中に精を放出していく。
いったん果てたはずのものはすぐに力を取り戻し、また果て、そしてまた本能のままに突き上げる。
そうされながら、マヤは自分が泣き声をあげていたことに気付いた。
涙と涎で頬が濡れ、床には淫液がだらしなく水たまりをつくる。
どのくらいそうしていただろう。
わずかに社長の動きが緩やかになったのを見計らって、マヤは耳元にそっと言葉を注ぎ込んだ。
しっとりと熱を含んだ、吐息と共に。
「社長……本当は、わたし……社長のこと、大好きなんです……だから、社長が、このまま裏切られるのを黙って見ているなんて……できない……」
「何? 裏切られるとは……どういうことだ」
意識的に膣に力を入れる。
内側にあるものに、思い切り圧迫感を与えてやる。
社長がウウッと呻き声をあげた。
歪んだ醜い顔、うつろな目。
おそらく、冷静にものを考える力は消え失せている。
「わたし、先週……仕事が終わった後、部長に呼び出されて……無理やり……」
「な、なんだと? なにかされたのか?」
ぶよぶよと太った体にしがみつきながら、マヤは声を震わせて、あの夜のことを語った。
部長が独立を考えていること。
資金を社長の金庫から引き出せと言われたこと。
そして、資金を出してくれるらしい男たちに、マヤの体をおもちゃにさせたこと……。
「そのあと……部長まで、わたしを……ひどい、ひどいわ……」
執拗に乱暴されたことを、多少の脚色を加えながら話す。
社長の顔色がどす黒く変色する。
あと、もう少し。
「嫌だったのに……社長以外のひとに、あんなことされたくなかったのに……」
「おまえ……そんなに俺のことを……」
再び唇が重なり、深く舌を吸われ、汗臭い腕の中にぎゅうっと抱き締められた。
溢れた精液が、股の間からどろりどろりと流れ落ちてくる。
鳥肌の立つような感触。
これで終わりだと思えば、別に苦痛でもなんでもない。
「でも……いいんです、わたしのことは……。あのとき、部長、金庫の開け方がわかったかもしれない、って言っていました……だから、お金、もしかしたら、もう……」
「あいつが盗んでいったかもしれないというのか! そんな……」
焦った様子で、社長が金庫に向かう。
でっぷりと贅肉ののった背中を横目に、マヤは静かに立ち上がった。
社長室の一番奥。
太い柱の下半分、周囲の壁と境目のわからないように、同色の板が嵌められている。
ガタン、と薄い板が外れ、その奥にある金庫のボタンに、社長がいくつもの数字を打ち込む。
やがて、ピーッという電子音と共に、大きな金庫が解錠された。