11 仮面の女 *性描写-1
辺境とはいえ、ゼノは城塞都市であり、それなりの賑わいをもつ。
中心部には、市場や浴場などの施設がそろい、砕石と火山灰のコンクリートで造られた、背の高い集合住宅がひしめく。
旅人の数も多く、繁華街は夜中まで喧騒が続き、宿も高級なものから木賃宿まで多種が揃った。
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暗い室内に、女の白い裸身がぼんやり浮かんでいる。
「……それから?」
白蛇のように腰をくねらせ、女が問う。
胎内に剛直をくわえ込み、みだらに腰を振りながら、口調はしごく冷静だ。
「なぁ、そんなに知りたいなら、後でなんでも教えてやるよ」
中年男は手を伸ばし、自分の腰に乗っている女の太ももを撫でた。
なまめかしい白肌は、極上の練り絹の手触りで吸い付いてくる。
「内密だからこそ、この場でお聞きしたいのです。……それから、誰が勝手に触っていいと申しました?」
騎乗位で跨っている女が、酷く冷酷な叱責とともに手を払い除けた。
弾み揺れた乳房は、たっぷりした大きさながらツンと上向いた美乳。
腰は見事にくびれ、尻の形や手脚のラインも申し分ない。
女として極上の肢体だ。
美しい艶やかな黒髪はやや短く、首もとの丈で、ふっつり切り揃えられている。
そして顔は……半分しか解らなかった。
優美な笑みを浮べた口元は整っているが、上半分をマスク型の仮面が覆っている。
暗い室内で、極上の裸身を晒した女が、それのみを着けている光景は、妙になまめかしく、妖しさを倍増させた。
加えて、女の性技がまた凄まじかった。
男は中年に差し掛かっていたが、まだ体力精力ともに衰えてはいなかったし、女慣れもしていた。
『持ち物』にも自信があり、今までの歳月で積み重ねた手管を使えば、どんな女も一晩中泣き叫ばせれると、自負していた。
それがすっかりこの女のペースにはまり、童貞のごとく弄ばれている……。