11 仮面の女 *性描写-2
女の名も素性も知れない。
酒場で声をかけられ、巧みな話術と、衣服の上からでも解る極上の肢体に鼻の下を伸ばした所、女の方から誘いかけられた。
仮面で顔を隠しているのは、あまり気にならない。
上流階級の奥さまが身分を隠し、一夜の遊び相手を探すのはよくあることだ。
手頃な安宿に入り、服を脱いで絡み合った。
まだ半起ちのモノを、女は熱い口に吸い込む。
薄めの唇をすぼめ、舌と頬肉全体を使って愛撫され、たちまち血液が下半身に集中した。
亀頭が喉奥まで当たるほど深くくわえ込み、口いっぱいに剛直を含みながら、歯を当てることもなく丹念な愛撫を施される。
ぬるつく舌が蛇のように裏筋を嘗め回し、じゅぷじゅぷ唾液を攪拌する音が響く。一度口から出し、敏感な尿道口からエラ部分を執拗に攻め抜かれた。
「お、おい、すげぇな……」
男の弱い部分を知り尽くした技に陶然としつつ、早くも限界を迎えそうな事態へ驚き、腰を引こうとしたが遅かった。
再び深く咥えこまれ、頭を上下させながら強く吸引されると、男の腰が大きく痙攣する。
呻きながら、あっけなく女の口内にドクドク白濁を吐き出した。
「う……ぅ……」
何度も繰り返される吐精にむせる事もなく、女は流し込まされた精を全て飲み干す。
しまいに口端をペロリと舐め、淫艶な笑みさえ浮べて見せた。
やや気まずい心境になった男だが、興奮しきったせいか、一度出したばかりなのに、高ぶりは治まらない。
「わたくしの方も、濡らしてくださいませ」
男を仰向けに寝かせ、女は恥ずかしげもなく顔の上に腰を降ろしてくる。
だが一気に密着する事はなく、見せ付けるように、目前で腰を止めてしまった。
乾いたままの秘所は、奇妙なほど美しい色と形を保っていた。
花弁はぴっちり閉じ、指でかき分ければ、蝋細工のように透明感のある陰唇と、奥でうごめく赤い媚肉が見えた。
恥女さながらの行為と逆に、初心な処女の秘所かと思うほどだ。
女の腰が降りてきて、命じられるまま舌を伸ばし、むしゃぶり舐めまわす。
「ん……」
小さな濡れた吐息が、ゾクリと官能を呼び起こす。
「は……ん、とても……気持ちようございます……」
したたる愛液の量は少なかったが、腰をわずかに揺らしながら、甘い声で褒められる。
極上の女を感じさせているのだと、自負をくすぐられ、ひどく心地よかった。
「もう、十分です……」
顔の上から降り、女がそのまま仰向けた男の下腹部に移動する。細い手が屹立に添えられた。
位置を確かめるように軽く擦られ、先端が熱い粘膜にすれる。
「……っ」
短く息を飲み、女が一気に腰を落とした。
無理やり押しいれるように、熱くぬめる蜜壷が男を飲み込んでいく。
その狭さと快楽に眩暈がし、男は奥歯をかみ締めた。
眉をしかめながら見上げると、女は苦痛の極みにあるようだった。
喉をそらせ、引きつる全身から汗が噴出し、白肌をぬらぬら伝っていく。
「おい、大丈夫か?やっぱりアンタ……」
「……平気です」
本当は慣れてないんじゃないか?と聞く前に、女は息を整えた。
そして、唐突に切り出したのだ。
「それよりも、教えて頂きたい事がございます」