第3話 陵辱の始まり(前編)-7
新婚夫婦の新居。
さっき掃除をしたばかりのリビングは清潔感に溢れている。
ソファにふんぞり返った蛇沼は、そのヌメッとした爬虫類のような顔を紗希に向けた。
「ほら、奥さ〜ん。そんな所に突っ立てないで、こっちに来なさいよぉ」
ソファを手で叩いて、隣に座るように促す。
「写真を……返すって、約束してくれますよね……」
もはや、蛇沼が求めていることは聞かなくても分かっていた。
それは、新妻の紗希には受け入れられることではなかった。
しかし、あの写真が誰かの目に触れることを想像すると、拒むことはできなかった。
だから、せめて、自分自身を納得させられるだけの保証が欲しかった。
そうでなければ、裕一を裏切ることになってしまうと思ったからだ。
「奥さんが私の言う事を聞いてくれれば、返すって約束しますよぉ。だから、早くこっちに来なさい」
観念したように俯き、おそるおそるといった足取りで紗希が蛇沼に近づいていく。
「ほら、奥さん。何、ぐずぐずしてるんですか」
我慢できないといった様子の蛇沼は、紗希の腕を掴んで、ソファに引っ張り込んでしまう。
「あっ……!」
ソファに崩れ落ちる紗希。
すかさず、蛇沼の腕が紗希のウエストを抱き寄せた。
「いい匂いですねぇ、奥さん。たまんないですねぇ」
早くも鼻息を荒くしている蛇沼は、セーターの上から紗希の胸の盛り上がりを弄り始める。
好きでもない男に身体を触られる。
激しい不快感に、新妻の全身には鳥肌が立っていた。