第3話 陵辱の始まり(前編)-5
紗希は、玄関先に立ったまま俯いてしまった。
すると、蛇沼が戻ってきて、紗希の顔を覗き込んでくる。
「奥さ〜ん、やっぱり、この写真、奥さんなんじゃないですかぁ」
「……」
「どうなんです?違うというなら、別に私が誰かに見せても奥さんには関係ないことですよねぇ」
「……困ります」
「うん?」
「その……困ります」
「何がですかぁ?」
「写真……返して下さい」
「じゃあ、やっぱり、これは奥さんなんですね?」
「……はい」
蛇沼の顔がこれ以上ないというくらいに醜く歪んだ。
「な〜んだ、やぁっぱり、奥さんなんじゃないですかぁ」
「……お願いです……この事は誰にも……言わないで下さい……」
完全に下を向いてしまった紗希。
まるで罪を糾弾される犯罪者になったような錯覚に陥っていた。
遂に獲物を捕らえた。
3ヶ月前に裕一と紗希が引越しの挨拶にやって来た。
その時の紗希の控えめで、礼儀正しい振舞いが中年男の心を惹きつけた。
清楚な顔立ちと、服の上からも分かる均整のとれた身体が淫らな妄想を掻き立てた。
ひと目見た時から、蛇沼は、この新妻を我が物として扱うことを夢想するようになった。