温泉旅館 豪華な夕食と豪華な給仕-2
「そうそう、それで箸で摘まんだお刺身を、おまんこに浸して女体エキスを付けてから食べるやつよ」
美弥子の言った内容が正しいかどうかは不明だったが、取りあえず恵子にも女体盛りのイメージが湧いた。
「でもお母さんそれはダメよ。食べ物を粗末にしたらいけないわ」
「それもそうね。女体盛りは却下だわ」
淫乱なことを除けばとても素直な美弥子だった。
「でも、これだけの量は食べ切れないわね。まだ後からも出てくるんでしょうし」
母子家庭で新司を育てあげた瞳にとって、料理を残すような贅沢は罪悪だった。そんな思案顔の瞳を見た恵子は機転を利かせて女将に提案した。
「ねえ、女将さん。どうせこの後もご一緒していただけるんだったら、旦那さんも呼んで今から夕食をご一緒しませんか?」
「まあ、ありがとうございます。でも、お客様のお料理をいただくなんてできませんわ」
「あら?そんなに他人行儀に遠慮してたら仲間に入れて上げないわよ」
美弥子が悪戯っぽく笑った。
「え―――っ!そ、それは困ります。でもお給仕もしないと」
元来生真面目な女将は困った。自分の職務を果たしたいし、一緒に乱交も楽しみたい。
「給仕なんていいのいいの。それはみんなで分担してホームパーティみたいに楽しくやりましょ」
「そうそう、あたしたちはもう仲間なんだから遠慮はいらないわよ」
美弥子と瞳に押されて無下に断ることも出来ない。
「わかりました。取りあえず主人の了解を取ります」
女将が内線電話で事務所の旦那に恵子の提案を伝えると、案の定旦那の返答は『お客様にそんなことはさせられない』だった。しかし、電話を代わった美弥子の『断ったら仲間にいれないわよ』の一言で恵子の意見がアッサリ通った。
実際のところ、今日は麻耶と佐代の2人の仲居が出勤しているし、客も美弥子たちだけなので給仕は1人だけでも充分だ。それにそこまで言ってくれる客だから、多少の不手際も目を瞑ってくれるだろう。受付カウンターと事務所を長時間不在にすることだけが難点だったが、それも仲居の1人を置いとけば済む問題だった。
その仲居の1人、佐代は宴会用のビールを鮑の間に運ぶために廊下を歩いていた。その表情はニコニコとしていてとても幸せそうだった。
そんな佐代の後ろから、内線電話で呼び出されて急ぎ足の旦那が追いついた。旦那は佐代の締まった尻を見ると挨拶代わりに着物をまくり上げた。
「きゃっ!何するんですか。止めて下さい」
驚いた佐代は声を上げて旦那を睨んだ。
「へっ?そんなに大きな声を出さなくてもいいだろ。さっき散々見せてくれたし、それにこの後もするんだし」
旦那はニヤニヤしながら、ワレメの中に指を滑りこましてクチュクチュと弄りだしたが、佐代は身を捩って逃れた。
「はうう、止めて下さい。さっきの事は忘れて下さい」
「おいおい、一体どうしたんだよ?」
さっきまでと違った佐代の態度に旦那は戸惑いながら聞いた。
佐代はしばらく旦那を睨んでいたが、急にその表情を緩めて嬉しそうな顔をした。
「実はですね…」
佐代が何かを言おうとした時に、後ろから声を掛ける者がいた。
「やあ旦那さん、やってますね〜。こんなところで若い仲居さんと乱交の前哨戦ですか?」
「おや、支配人、早いお越しですね」
それはストリップ劇場の支配人だった。ソワソワした支配人は、居ても立っても居られずに、客入りの少ない劇場を踊り子に後を任せて飛び出してきたのだ。
「ところで、旦那さん、美人女将も参加するんですか」
「いやあ、お恥ずかしい」
「それは楽しみ倍増ですね」
温泉街の顔役クラスの2人は、締まりの無い助平そうな笑みを浮かべながら、お互いにうんうんと頷き合うと、2人揃って鮑の間へ向かった。
「あっ…」
自分の言いたいことを旦那に伝えられず、1人取り残された佐代は、慌てて2人の後を追った。
(まあ、女将さんに言えばいいか…)