ため息1つ-9
目をつぶって
加奈ちゃんの唇が俺の唇に触れるのをそっと待つ。
おいおい・・・
ドキドキしてきた。
童貞を捨てたあの頃から
女に不自由したことなんかただの1回もなかった。
女は寄ってくるもんだと思ってた。
女は自分から服を脱ぐもんなんだと思ってた。
そんな俺が、一人の子のキス待ちで
目をつぶってドキドキしてるなんて
3ヶ月前の俺が聞いたら
笑い飛ばすかもしれない。
「ちゅっ」
軽いリップ音と共に感じた感触は
唇じゃなくて頬だった。
俺は自分の頬を手のひらで抑え
自分の顔が真っ赤になっていくのを感じた。
チェリーボーイか!
自分自身の反応にため息が出た昼過ぎだった。